【UberEats】年末年始の失敗——代表・中川氏の責任は?
年末年始の混乱。代表・中川氏がインタビューを受け謝罪するも誠意なし
2024年末から2025年初めにかけて、Uber Eatsは深刻な配送遅延・キャンセル問題に直面しました。
SNSでは「配達が来ない」「注文が勝手にキャンセルされた」などの声があふれ、大きな混乱となりました。
この件について、Uber Eats代表の中川氏はインタビューで謝罪し、次のように説明しています。参考記事:UberEats 年末年始の混乱(マイナビニュース)
「年末年始の需要が非常に大きく伸び、供給とのバランスが崩れた」
「ここまで需要が伸びるとは思っていなかった」
「配達パートナーの人数は安定しており、持続可能性に問題はない(今後も配達に滞りは起こらない)」
しかし、これらの発言には多くの矛盾が含まれており、問題の本質が正しく説明されていません。表面上の謝罪であり起きた問題を誤魔化そうとしている発言からは誠意が感じられません。 今回はこのインタビューを配達員の視点から深掘りし、Uber Eats運営の問題点を検証していきます。
中川氏の説明に潜む矛盾
①「需要が伸びるとは思っていなかった」→過去データを無視
年末年始は例年、飲食業界全体の需要が増加する時期です。Uber Eatsには過去のデータが蓄積されているはずであり、「予想できなかった」という説明には説得力なしです。
②「需要と供給のバランスが崩れた」→原因をすり替え
Uber Eatsは2024年後半から配達報酬の大幅な引き下げを実施し、それによって配達パートナーの稼働率が低下していました。その結果、配達員不足が発生し、大量の遅延・キャンセルにつながっています。しかし、中川氏は「需給バランスの問題」、「注文数が予想を超えて多かった為に配達員が足りなくなった」と表現し責任転嫁的な発言をしています。もっとも大きな原因はそこではなく配達報酬をあまりにも下げたことにあります。
③「配達パートナーの人数は安定している」→統計のトリック
Uber Eatsは「月間アクティブ10万人」と発表していますが、これはアカウント登録者数を指しており、実際に稼働している人数とは別です。また、2025年1月以降、Uber Eatsは大量のクエスト(インセンティブ)を投入し、一時的に稼働人数を増やしている状態です。これは低報酬に嫌気がさし激減した配達員を呼び戻すための対策でした。この理由もあり「安定している」という表現は正確ではないでしょう。
④「年末年始の稼働人数は例年通り」→実際は大幅に減少
2024年末の低単価により、年末年始に稼働を避けた配達員が大多数いました。その証拠として、配達員不足により加盟店での食品廃棄が発生してTVでも取り上げられるほどの社会問題にもなりました。中川氏はこれを「配達の稼働人数は例年通り」と説明していますが、実態とは大きく異なっています。
⑤「需要が増えれば単価が上がる」→実際は上がらなかった
Uber Eatsのシステムでは、通常なら需要が増えれば単価が上がるはずです。しかし、2024年末は需要が急増したにもかかわらず、報酬は上がらず、多くの配達員が稼働を避けました。また年明け2025年1/4以降に報酬の調整が入り報酬が回復しましたが、2025年1/23にはまたも大幅に報酬を下げました。それによりまたも配達遅延、キャンセルの発生。配達員は稼働しないといった問題に。すると翌日1/24には報酬を訂正し適正価格へと戻しています。このことからAIだけが判断して報酬を決めているのではなく人の手が加わっている可能性が高いことが明らかとなりました。つまり「需要が増えれば増えるほど配達単価が上がっていくというシステムになっています」という中川氏の発言は矛盾を孕んでいます。
代表としての資質が問われる
Uber Eatsの代表である中川氏は、月に数回は自転車で配達をしていると発言しています。しかし、実際に現場を経験しているにもかかわらず、ここまでの失敗を防げなかったのは大きな問題です。配達することによって一体何を学べているのか疑問です。
- 過去データを活用せず、需要を見誤る
- 低単価政策で配達員を減らしながら、問題の本質を正しく説明していない
- 失敗の責任を「需給バランスの崩れ」としている
運営側がこれまでのデータや市場動向を適切に分析できていれば、このような事態は避けられたはずです。
今後の改善策と株主への提案
今回の問題は 「予測できなかった事故」ではなく、「予測できたのに防がなかったミス」です。Uber Eatsの持続可能性を考えるならば、以下の点が改善されるべきでしょう。
- 報酬体系の見直し
- 需要が増えた際に、適切に配達報酬が上がるシステムを運用すべきです。
- 低単価が長期間続けば、配達パートナーの離脱が進み、結果としてサービス全体の品質が低下します。
- データに基づいた需給調整
- AIによる最適化に頼るだけでなく、過去の需要データを踏まえた戦略的な調整が必要です。
- 透明性のある情報公開
- 稼働配達員の正確な人数や、配達報酬のリアルな動向について、利用者や株主に対してより透明な情報を提供すべきです。
このような抜本的な改革が行われなければ、今後も同様の問題が発生する可能性が高いでしょう。
Uber Eatsの株主は経営の持続可能性を考えるならば問題すら引き起こした責任を問い、必要であれば新たなリーダーシップを検討するべきかもしれません。
記事は以上になります。ここまでお読みいただきありがとうございました。